Music Research Contest 2023 最終選考結果発表と特別賞のご紹介

Audiostock 様とヤマハ株式会社研究開発統括部が共催する Music Research Contest 2023 の 最終選考結果発表 が行われました。すべての受賞作品とその詳細を上記リンクからご確認いただけますので、ぜひご覧ください。
ここでは、本コンテストの中でヤマハ VOCALOID β-STUDIO チームが選出した「VOCALOID β-STUDIO 特別賞」についてご紹介します。

 

VOCALOID β-STUDIO 特別賞

ヤマハ VOCALOID β-STUDIO のコンセプトである「歌声合成の新しい世界を切りひらく」という観点から、従来の歌声合成ではあまり行われないような表現や使い方、新しい世界観などを強く感じた作品を選出させていただきました。コンテスト本体の結果発表ページでも紹介されていますが、受賞作品となった11作品をこの場でも改めてご紹介します。
なお、コンテストの主要な賞の審査基準とは異なるコンセプトによる選出となるため、コンテスト本体の “一次選考” を通過しなかった曲も含まれています

 

ライブラリーミュージック部門

Answer
MaSssuguMusic 様
(prtv_1)
 
投稿時のコメントでいただいた「非人間にも関わらず人間味のある声が人間に問いかけるというテーマ」そのもの、それを完璧に体現した楽曲・ボーカルとしての完成度に心を強く掴まれました。
Cyber Choir
Rio Sato 様
(花奏かのんβ, 杏戸ゆげβ, Ciちゃんβ)
 
とにかく高頻度なブレスの、ひとつひとつには自然性やリアリティがあるのにトータルで人間がこの表現をすることは難しい、という絶妙な新しさを感じます。その上でBGM楽曲としての完成度も高いと思います。
tenbirds
tripillon2 様
(prtv_2, prtv_3, nagiβ)
 
言語を完全に身につける前の人類が歌を歌い始めた瞬間を映像で見ているような気持ちになります。歌声の誕生と進化の根源のようなものを感じ、歌声合成の開発者として胸が熱くなりました。
Cloudy then Rain
Masayuki Ichinose 様
(prtv_1)
 
はっきりとアンビエントに振り切った作品として、新しい歌声合成の可能性を感じさせていただきました。ボーカルパートが常に揺らめいている感じが、人間とも楽器とも異なる絶妙なニュアンスを演出しています。
Popin
水流ともゆき 様
(prtv_1, ゲキヤクβ, 花奏かのんβ)
 
聴いた瞬間に石鹸のCMのイメージがうかびました。歌声合成をしっかり活用したコーラスで絶妙かつ効果的にイメージを提示しつつも、音の真ん中が空いているので、映像やナレーションとの組み合わせで抜群の効果を発揮しそうです。
After voices
a.notes 様
(prtv_1, 杏戸ゆげβ)
 
VX-βのPowerパラメータを利用して強弱感の押し引きを与えることで、歌詞のないボーカルにここまでの表現力を持たせられるのか、と驚きました。歌声合成が歌詞・メロディ以外の部分に豊富な歌唱表現を載せられることを示してくださいました。

TikTok/SNSでの人気曲部門

一つ目小僧
Kashu 様
(カゼヒキβ, 花奏かのんβ, 杏戸ゆげβ, Ciちゃんβ, 春日部つむぎβ)
 
楽曲全体とボーカルが非常にマッチしています。和風だけどダンス、ダークだけどコミカル、表情感あるけど合成、といった極めてハイレベルな文化ミックスを感じました。
Ghost Night
Rio Sato 様
(prtv_3, カゼヒキβ)
 
人は、限りなく人のようであって人ではないものに恐怖を感じるそうですね。どこか人のような表情感をもつものが深淵な音像のなかから声を発してくるのを聴いて、得も言われぬホラーの世界に引き込まれました。
アンチコミュニケーション
Kadetse 様
(Ciちゃんβ)
 
数ある曲の中でも特にボイスバンクの元のご本人(キョンシーのCiちゃん様)の雰囲気を強く感じて、「ご本人の分身による作品が有志により生みだされていく未来」を予感しました。
Mr. Holiday
Hamo 様
(prtv_1, nagiβ, ゲキヤクβ)
 
まるでこの1曲のために出会った歌手たちのユニットのような、それぞれの声の表情感が織りなしてつくる曲の世界に魅了されました。合成だからこそできるピッチや音色の細やかな工夫がこらされていて、落ち着いた曲調でありながらも、ずっと聴いていて楽しい気持ちになります。
おはおは!おはよう!
K.AKI 様
(prtv_0, 我然β, nagiβ, 花奏かのんβ, Ciちゃんβ, 春日部つむぎβ, HARUKA, AKITO, ALLEN, SARAH)
 
歌声合成だけでとにかく分厚いコーラスを形成していただけたことが、何より嬉しかったです。実際、人間ボーカルでこれだけの人数を集めるのは簡単ではないですよね。
当初は、VOCALOID β-STUDIO のコンセプトから見て特に賞を差し上げたいと感じる作品を、各部門で1作品ずつ選出する予定でした。しかし、とても1作品ずつに絞ることは不可能なほどに素敵な作品、その発想や表現にうならされるような作品に溢れていて、最終的には2部門合計で11作品を選出することになりました。これ以外にもご紹介したい作品が本当に数多くあり、この11曲に絞るという行程も大変に難しいことでした。
本コンテストにご応募くださったすべてのクリエイター様に感謝を申し上げます。